最終更新日 2026年5月31日

 西須摩の須磨多聞線建設をめぐり地域住民が神戸市長を訴えた裁判(住民訴訟)の上告審で最高裁判所第二小法廷は2026年4月24日、上告棄却および上告不受理を決定しました。これをもって本件裁判は2020年12月17日の提訴以来約5年半を経て住民側敗訴が確定し終結しました。
 結果は残念なものとなりましたが、この裁判では住民側から2百数十点に上る証拠を提出し住民側の主張を十分に立証し得たものと考えています。また、裁判を通じて神戸市行政の非道を司法あるいは社会に問うという「住民側の望んだとおりの裁判」も実現できました。
 最後に、この裁判を契機として神戸市行政が少しでも良い方向に変わることを願ってやみません。
なお、最高裁判所第二小法廷調書(決定)及び最高裁判所決定に関する新聞各紙記事は下に掲載しています。
また各準備書面等は裁判資料の頁に全文掲載していますのでご参照下さい。

 ▶最高裁判所第二小法廷調書(決定)
 ▶最高裁判所決定の新聞各紙記事

訴訟の終結を受けて
~意義と課題~

令和8年5月1日
西須磨道路訴訟弁護団
        弁護団長 津久井進

 西須磨道路訴訟は、令和8年4月24日、最高裁判所が上告棄却決定および上告不受理決定を出し、これをもってすべての審理が終わりました。  
 本訴訟は、阪神・淡路大震災の復興まちづくりのあり方を問う法廷活動でした。住民一人ひとりが西須磨地区の生活環境を守るために立ち上がり、神戸市に対話と提案を求め、公共事業の本質を問い続けてきました。本訴訟の前史となる約25年にわたる公害紛争調停を含め、長年にわたる住民たちの粘り強い取り組みと、支援者の皆様の絶大な支えによって、ここまで歩みを進めることができました。   
 主な争点は3点ありました。第1は、本件事業の必要性です。対象となった須磨多聞線(西須磨)は、高度成長期に計画された渋滞解消を目的とする500m余の短い都市計画道路ですが、人口減少に伴い交通量も激減して渋滞が存在しない現状で、事業を強行する必要があるのかという点です。   
 第2は、住宅街のど真ん中を貫く道路の建設によってもたらされる環境悪化です。西須磨地域は歴史と文化あふれる静謐な町並みですが、それらが激減すると共に、騒音、大気汚染、交通危険、新たな渋滞といった深刻な影響を無視するかどうかという点です。   第3は、神戸市と住民らが取り交わした合意書の効力です。神戸市と地域自治会は、住民の了解なく中央幹線の形状変更をしない確認書を取り交わしていましたが、それを一方的に反故にした神戸市の対応が、法的に、道義的に、社会的に許されるかどうかという点です。   
 裁判所の最終判断は、残念ながら原告らの主張を全面的に認めるものではありませんでした。しかし、その過程において、数々の問題提起がなされ、それらが重要論点として議論が尽くされ、貴重な証拠書類を踏まえた精緻な検証が積み重ねられたことは、意義深い成果であったと考えております。そこで得られた教訓は、都市計画事業を決定・遂行するに当たっては手続の形式的に整えるだけでは足りず、実質的な住民の理解と納得を得る努力が尽くされなければならないということでした。   
 大災害により深く傷付いた地域を復興させるにあたって、何が重要であり、どのようにして住民の意思を形成し、それをいかなる方法で具体化していくか、本件訴訟で得られた教訓は、災害が頻発している現状下において、重要な示唆を提供するものといえます。   本件の訴訟記録は、現在、住民ら当事者の手によってアーカイブ化し公開されています。本訴訟の経過や争点、各当事者の主張が広く共有され、訴訟結果だけでなく、そのプロセス全体も社会的資産として活用されることを期待します。そして、それに基づいて、完成した須磨多聞線(西須磨)の道路の検証を行っていただくことを希望します。   
 最後に、弁護団としては、本訴訟において尽くし得る限りの主張・立証を行ってまいりましたが、敗訴判決となったことに忸怩たる思いを禁じ得ません。しかし、原告の皆様が一貫して示された矜持ある姿勢と、その行動が社会に投げかけた問題意識は、今後の同種案件でも参照されることでしょう。本訴訟を支えてくださったすべての皆様に感謝申し上げるとともに、本件の教訓がより良い社会の実現に向けて引き続き取り組んでいく所存です。
                 以 上

              
              訴訟の終結を受けて
               ~意義と課題~                

        令和8年5月1日
       西須磨道路訴訟弁護団
        弁護団長 津久井進

 西須磨道路訴訟は、令和8年4月24日、最高裁判所が上告棄却決定および上告不受理決定を出し、これをもってすべての審理が終わりました。
 本訴訟は、阪神・淡路大震災の復興まちづくりのあり方を問う法廷活動でした。住民一人ひとりが西須磨地区の生活環境を守るために立ち上がり、神戸市に対話と提案を求め、公共事業の本質を問い続けてきました。本訴訟の前史となる約25年にわたる公害紛争調停を含め、長年にわたる住民たちの粘り強い取り組みと、支援者の皆様の絶大な支えによって、ここまで歩みを進めることができました。  
 主な争点は3点ありました。第1は、本件事業の必要性です。対象となった須磨多聞線(西須磨)は、高度成長期に計画された渋滞解消を目的とする500m余の短い都市計画道路ですが、人口減少に伴い交通量も激減して渋滞が存在しない現状で、事業を強行する必要があるのかという点です。  
 第2は、住宅街のど真ん中を貫く道路の建設によってもたらされる環境悪化です。西須磨地域は歴史と文化あふれる静謐な町並みですが、それらが激減すると共に、騒音、大気汚染、交通危険、新たな渋滞といった深刻な影響を無視するかどうかという点です。  
 第3は、神戸市と住民らが取り交わした合意書の効力です。神戸市と地域自治会は、住民の了解なく中央幹線の形状変更をしない確認書を取り交わしていましたが、それを一方的に反故にした神戸市の対応が、法的に、道義的に、社会的に許されるかどうかという点です。  
 裁判所の最終判断は、残念ながら原告らの主張を全面的に認めるものではありませんでした。しかし、その過程において、数々の問題提起がなされ、それらが重要論点として議論が尽くされ、貴重な証拠書類を踏まえた精緻な検証が積み重ねられたことは、意義深い成果であったと考えております。そこで得られた教訓は、都市計画事業を決定・遂行するに当たっては手続の形式的に整えるだけでは足りず、実質的な住民の理解と納得を得る努力が尽くされなければならないということでした。  
 大災害により深く傷付いた地域を復興させるにあたって、何が重要であり、どのようにして住民の意思を形成し、それをいかなる方法で具体化していくか、本件訴訟で得られた教訓は、災害が頻発している現状下において、重要な示唆を提供するものといえます。  
 本件の訴訟記録は、現在、住民ら当事者の手によってアーカイブ化し公開されています。本訴訟の経過や争点、各当事者の主張が広く共有され、訴訟結果だけでなく、そのプロセス全体も社会的資産として活用されることを期待します。そして、それに基づいて、完成した須磨多聞線(西須磨)の道路の検証を行っていただくことを希望します。  
 最後に、弁護団としては、本訴訟において尽くし得る限りの主張・立証を行ってまいりましたが、敗訴判決となったことに忸怩たる思いを禁じ得ません。しかし、原告の皆様が一貫して示された矜持ある姿勢と、その行動が社会に投げかけた問題意識は、今後の同種案件でも参照されることでしょう。本訴訟を支えてくださったすべての皆様に感謝申し上げるとともに、本件の教訓がより良い社会の実現に向けて引き続き取り組んでいく所存です。
                                  以 上

西須磨都市計画道路(須磨多聞線)訴訟年表

2020年(令和2年)
 3月25日 神戸市が桜木町2丁目歩道設置工事に着手(=須磨多聞線着工)
 7月30日 住民監査請求人及び原告「募集ビラ」を地域に配布
10月 1日 第1次住民監査請求(請求人528名)
11月 4日 第2次住民監査請求(請求人84名)
第1次請求人と合わせた総数は612名
11月 5日 第2次公害調停第3回調停期日 → 調停委員会が調停を「打切り」
 ≪第2次公害調停が申請以来1年10ヶ月で終結≫
11月16日 第1次・第2次監査請求人数が577名で正式確定(受理)
11月18日 神戸市監査委員会が監査請求を棄却
12月13日 原告団ホームページ開設
12月17日 西須磨地域住民等571名が神戸市を提訴(住民訴訟)
2021年(令和3年)
12月 7日 第1回口頭弁論
2022年(令和4年)
 2月22日 第2回口頭弁論
 6月21日 第3回口頭弁論
 9月 6日 第4回口頭弁論
11月 8日 第5回口頭弁論
2023年(令和5年)
 1月24日 第6回口頭弁論
 4月11日 第7回口頭弁論
 7月24日 第8回口頭弁論
 9月22日 第9回口頭弁論
2024年(令和6年)
 2月13日 第10回口頭弁論(当事者尋問)
 4月17日 11回口頭弁論(結審)
 8月29日 神戸地方裁判所判決→ 原告住民側敗訴
 9月 9日 大阪高等裁判所へ控訴
2025年(令和7年)
 2月14日 控訴審第1回口頭弁論(大阪高等裁判所)
 6月 4日 控訴審第2回口頭弁論(控訴審結審)
 8月29日 控訴審判決(大阪高等裁判所)→ 控訴棄却=住民側敗訴
 9月 3日 最高裁判所へ上告
11月 5日 最高裁判所へ「上告理由書」、および「上告受理申立理由書」を提出
2026年(令和8年)
 4月24日 最高裁判所が「上告棄却」および「上告不受理」を決定→ 住民側敗訴が確定

過去の口頭弁論の報告は「口頭弁論報告」ページを、

各準備書面等は「裁判資料」のページをご覧ください。